疲労のメカニズム
身近な現象「疲労」。
しかしその科学的なメカニズムはほとんど解明されていなかった。
1999年から日本の26の大学や研究機関によって、疲労のメカニズムの解明と疲労軽減の方策を探るための世界初の大規模研究が行われてきた。
その成果の一つが疲労の数値化。
興奮したり逆に安静したりした状態で、変動する自律神経の様子を調べることで、疲労の度合いを数値化する方法が開発されている。
こうした疲労の数値化によって、軽度な疲労か重い慢性疲労なのかという客観的な診断が可能になる。
また、疲労と脳の知られざる関係も明らかになってきた。
慢性疲労に陥っている人に視覚刺激を与え続けると、視覚中枢だけでなく、聴覚といった他の感覚中枢の機能までも低下することがわかった。
これは脳が過剰に働くことにブレーキをかけている状態だと考えられる。
さらにラットを用いた研究では、過労になると脳下垂体や視床下部で異常が起こることがわかった。
これは全身のホルモン分泌の異常を招くことになり、過労死の原因の一つの解明につながることが期待されている。
その一方で抗疲労薬品の研究開発も進められている。
抗疲労の一つの目安となるのが抗酸化作用。
多くの抗酸化物質について実際の疲労回復の効果を調べることで、有効な抗疲労物質の発掘、さらにそれを用いた抗疲労薬品の開発が進んでいる。
(2008.09.20サイエンスゼロより)